鹿児島県の離島・屋久島。
中学地理の九州地方の学習で、世界遺産だとか、縄文スギ、とか出てくるね。
そんな屋久島に、行ってきました。
と、実際に屋久島に行ったときの話をする前に、少し屋久島の説明をします。
まず世界遺産についてですが、世界遺産には
・世界自然遺産
・世界文化遺産
・世界複合遺産
の3種類があります。
日本の世界自然遺産は、2021年現在4件が登録されていて、
屋久島はその一つです。
1993年に白神山地とともに日本初の世界自然遺産に登録されました。
屋久島は、東京23区と同じくらいの小さな島です。
(↑国土地理院地図より)
東側には、鉄砲が伝来した種子島があるね。
種子島は全域緑っぽいけど、
屋久島は全面茶色。
そう、屋久島は山だらけなんだ。
標高1500mを超える山が20もあって、
(阿蘇山は標高1592m)
屋久島で一番高い山(宮之浦岳)は、屋久島どころか九州地方で一番高い山なのだ。
なぜ、屋久島は山ばかりなのか?
それは、屋久島は海底の亀裂部分にマグマがもれ始め、それが隆起してできた島だからだそうだ。
実際、屋久島のほとんどの地質は、花こう岩でできている。
(出た!知ってるね、花こう岩。
中1理科・火山のところで習ったね。
マグマが地表や地表近くで急速に冷え固まってできた岩石とか、、)
また、高い山が多いということから何が想像できるかな?
・山といえば、天気が変わりやすい。
・上昇気流が発生して雨が降る(中2理科・気象で習う。)
・山を登るにつれて気温が下がり、山頂はかなり寒いのかな?
そう、それらは全部当てはまります。
屋久島は、「ラッキョウ粒の雨が降る」とか「月に35日雨が降る」とか言われるほど雨が多い。
また、一方で土砂降りでもちょっと離れているだけなのに一方では晴れていたり、天気が大きく違っていたりする。
屋久島は「南の島」ではあるけれど、標高が高くなれば気温は下がり、冬には山頂に雪が積もる。
そういった気候が当然自然環境にもあらわれ、沖縄で見られる植物から北海道くらい寒い地域の植物までこの小さな島・屋久島にギュッと凝縮されている。
さらに、屋久島だけに自生する固有種も約40種類発見されているそうだ。
で、教科書にも写真が載ってる「縄文スギ」だけど、
どんな特別なスギなの?
にっくきスギ花粉を飛ぶ散らすそこいらにあるスギとどう違うの?
結論から言うと、「縄文スギ」もそこいらのスギも、屋久島から青森にかけて分布するスギ科スギ属の樹木で同じ種類です。
屋久島に自生する推定樹齢1000年を超えるスギを「屋久スギ」と呼ぶのですが、
「屋久スギ」というのはヤクスギという種類があるのではありません。
建材で有名な秋田スギは、秋田県に生えているから秋田スギ、
奈良県吉野のスギは、吉野スギ、
屋久島に生えていて1000歳を超えているから屋久スギ、というように単なる地域名称。
推定樹齢1000年を超えている屋久スギの中でも、最も長生きしているスギに付けられた名前が「縄文スギ」。
町で一番長生きしているおじいさんは、〇×太郎さんですよ、というように
日本で一番長生きしているスギの木は、「縄文スギ」さんですよって感じの固有名詞です。
(樹齢は4000年以上とか約2700年とか諸説あり。)
ここで一つ疑問が、、、
一般的にスギの寿命は最長300年といわれているのに
屋久スギはなぜ1000年も2000年も生きているの?
ポイントは、雨が多いことと花こう岩。
雨が多いから植物が大きく育つ。でも一方で屋久島の地質である花こう岩は養分が少なく生育が遅くなる。
その結果年輪の幅が一般的なスギよりせまくなり木がかたくなる。
木がかたくなると、樹脂がたっぷりたまる。
樹脂には抗菌・防虫効果があることから、樹脂をたっぷりためこんだ屋久スギは長くゆっくり成長を続けることができる。
だから、長生き、だそうだ。
前置きが長くなりました。
屋久島に実際にいったときの話ですが、
もちろん「縄文スギ」を見てきました、と言いたいところなのですが、
実は「縄文スギ」は見てきていません。
「縄文スギ」を見るためにはかなり本格的な山登りをしなければならず、
(何人かは遭難して行方知れずとか)
捻挫の手当を怠ったために足首の弱い私は、本格的な山登りが必要な「縄文スギ」を見ることは断念。
道路の横に立っていて一番手軽に見ることができる屋久スギの「紀元スギ」を見て、
(「紀元スギ」というのはその木につけられた名前だよ。)
(高さは19.5m、幹の周りは8.1mもあり、推定樹齢3000年↓)
標高1000mにあり、遊歩道が整備されているヤクスギランドを散策して、
(推定樹齢数千年を超える屋久スギをいたる所に見ることができます。)
(↓いずれも見事な長寿。3枚目の「仏陀スギ」は胸高周囲8.0m、樹高21.5m、推定樹齢1800年。名前の付いていない見事な屋久スギも多数あり。)
映画「もののけ姫」のモチーフになった白谷雲水峡(しらたにうんすいきょう、と読む)を訪れました。
白谷川が作り出す濃密なコケと清れつな渓谷です。
すべてのものがコケでおおわれた幻想的な森が、「もののけ姫」に出てくる原始の森のモデルとされたといわれています。
深い森を抜け、最後に急な斜面を登ると太鼓岩と呼ばれる巨大な一枚岩の上に出て、一気に目の前に壮大なパノラマが広がります(↓3枚目写真)なんと!柵もない!
屋久島にのみ生息するというヤクシマザルや、屋久島と口永良部島に生息するヤクシカにも出会ったよ。
私は、世界自然遺産・屋久島を堪能、満足して帰りました。
が、その数年後重大な事実に気が付いたのです。
なんと!
屋久島全部が世界遺産登録地域ではなかった(;゚Д゚)
(九州旅ネットより引用。緑の部分が世界遺産登録地域。)
島の面積の約21%が世界遺産登録地域に当たり、
ヤクスギランドも白谷雲水峡も世界遺産登録地域に含まれていない(+o+)
ガーン、ショック!
屋久島特有の自然美を見てきたのだから良しとするにしても、
せっかくはるばる屋久島に行ってきたのに、肝心の世界遺産登録地域を体感してこなかったのは残念無念。
旅の教訓その1・下調べはとても大事。
でないと、肝心なことを逃してしまう。
旅の教訓その2・足を大事に、丈夫に。
足のケガには気をつけて。
もしケガをしたなら、たとえ軽い捻挫でも十分な手当をして養生し、
いつか旅するときにどんな野や山でも行けるよう、
健康な状態を保とう。
足首が弱くて私が見に行けなかった「縄文スギ」
もしいつか見てきたら、感想を聞かせておくれね。
おしまい。
(2018年3月訪問)
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